■MOTO6.5の仲間たち

ここで紹介するバイクは機械的な側面からみたMOTOの仲間たち、またはデザイン的な側面からみたMOTOの仲間たちです。

||| 機械的側面からみた仲間 |||

MOTO6.5のエンジンは、ROTAXというオーストリアのエンジンメーカーのものを使用しています。ベースになっているエンジンモデルはおそらく同社カタログ掲載の「Engine Type 655」(仕様概要:4-stroke、1-cylinder、5-valve、35 kW/47 HP、651.88 ccm、5-speed gearbox、EFI)。
このエンジンを採用、またはベースにしているバイクを勝手にMOTOの仲間達としています。

aprilia PEGASO
BMW F650シリーズ
Bimota BB-1
Norton C652SM


ROTAXとは?
1920年、ドイツにて設立。1943年にオーストリアへ移転。現在では主に航空機のエンジンを作成。小型のエンジンはモーターサイクルの他にスノーモービル、カートなどにも採用されている。
1983年からapriliaのためのエンジン供給開始。BMWへのエンジン供給は1993年から。
(写真はEngine Type 655)

||| デザイン的側面からみた仲間 |||

MOTO6.5のデザイナー、スタルクさんがデザインしたMOTOの兄弟とも呼べるバイクの紹介です。

X-Ray
X3

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||| 機械的側面からみた仲間 |||

■aprilia PEGASO

1990年頃、MOTO6.5に先駆けて発売されたMOTOの兄弟車、いわばお兄さん?MOTOのベースとなったモデルはおそらく92〜95年式のものと推測されます。

MOTO6.5と92年式のPEGASOのスペック表のギア比を比べると両者はまったく同じ(表1-1、表1-2)、つまりミッションは共通部品で最終減速比*1だけが異なります。すなわちエンジンユニットはほぼ一緒なのではないかと。確かにMOTOの部品を注文する際、PEGASOの部品番号と一緒だったりすることがあります。

表1-1:MOTO6.5 ギア比
1次減速比 2次減速比 最終減速比 減速比
1速 1.946 2.750 3.063 16.389
2速 1.750 10.429
3速 1.312 7.823
4速 1.045 6.230
5速 0.875 5.125

表1-2:PEGASO ギア比(92年式)
1次減速比 2次減速比 最終減速比 減速比
1速 1.946 2.750 2.937 15.720
2速 1.750 10.003
3速 1.312 7.502
4速 1.045 5.976
5速 0.875 5.001

では何がMOTOとPEGASOで異なる(=エンジン特性を生み出している)かというと、キャブとマフラー、Rスプロケです。(表2)

表2:MOTOとPEGASO 相違点
MOTO6.5 PEGASO
キャブ ミクニBST40パイ
シングルキャブ
ミクニBST33パイ
ツインキャブ
マフラー 左右二本出し 右一本出し
(〜97年まで)
Fスプロケ 16T
Rスプロケ 49T 47T

エンジン以外の相違点に言及すると、その頃のPEGASOは倒立サスだったようですがMOTOは普通の正立サスです。しかしPEGASOも最近のモデルチェンジで正立サスに変更されたようです。また、2005年現在ではPEGASOのエンジンは残念ながらYAMAHA XT-600のものに変更となりました。

ちなみにエンジンパーツ以外でもMOTOと共通の部品はあるので(ブレーキ関係とかはブレンボの共通品です)、適合・年式を確認の上、こちらを注文してもいいかもしれません。



*1:最終減速比の計算の仕方。
Rスプロケ(ドリブンスプロケット)の歯数÷Fスプロケ(ドライブスプロケット)の歯数」。時には16-47とか16-49のように、FとRのスプロケの数をそのまま表記することもある。


■BMW F650シリーズ

従来のBMWのバイクよりも気軽で安価で初心者向きのバイクを模索していたBMWが、1990年7月にapriliaから発売されたPEGASOに倣って94年頃に作成したのがF650シリーズです。設計はBMWですがエンジン供給はROTAX、組立はapriliaというOEMバイクでした。

PEGASOに使用されているエンジンは5バルブですが、F650では4バルブに変更になりました。また、その時に一つ余ったポートにはプラグが配置され、ツインプラグになっています。キャブはPEGASOと同様に33パイ・ツインキャブ。リアのスプロケもPEGASOと同様47T、すなわちMOTOと比べると2Tロング
*2です。マフラーはPEGASOと同じく片側一本出し。ただしPEGASOが右なのに対してF650は左なのだそう。

また、このOEM体制は2000年にF650 GSが発売されたのを機に解消され、BMWでのエンジン開発・車体組立に切り替えられました

なおF650もPEGASOと同様、MOTOと共通の部品があるので(ブレーキ関係とかはブレンボの共通品です)、適合を確認の上、こちらを注文してもいいかもしれません。(多分MOTOのパーツとして注文するよりもこちらの方が納期が早いと思います)

下記表3は参考までにF650のギア比。PEGASOと比較すると小数点3桁目が異なる箇所がありますが、数値はほぼ一緒。

表3:BMW F650 ギア比
1次減速比 2次減速比 最終減速比 減速比
1速 1.946 2.750 2.938 15.720
2速 1.750 10.003
3速 1.313 7.502
4速 1.045 5.976
5速 0.875 5.001




*2:ロングとショートとは?
T数を減らすと
1T当たりの山が担当する距離が長くなるのでロング。逆に増やすとショートと覚えると覚えやすい。


■BIMOTA BB-1

シングルレース用マシンのためにGileraからエンジン供給を受けていたBimotaですが1995年、諸事情によりBMWからのエンジン供給に切り替えられました(ROTAX->BMW->Bimotaということでしょうか?)。その時に用いられたのがF650のエンジンです。このバイクがBB-1。初めのBはBMWのB、次のBがBimotaのB、そのあとの数字は何作目のエンジンモデルかを示す数字だそうです。(例えばドカティ供給エンジンの4作目モデルだとDB-4とかになるらしい)

BB-1は吸排気系に手を入れることで、F650よりも若干トルクアップを図っています。(馬力は変わらず)キャブはPEGASOやF650と同様、33パイのツインキャブ。プラグはF650と同じくツインプラグです。
RのスプロケはF650よりさらにロングの43T、Fは17Tに変更されており、ハイギアード化
*3されています。参考までにギア比は表4。

表4:Bimota BB-1 ギア比
1次減速比 2次減速比 最終減速比 減速比
1速 1.946 2.750 2.529 13.536
2速 1.750 8.614
3速 1.313 6.463
4速 1.045 5.144
5速 0.875 4.307
※文字が薄いところは自分で値を算出*4



*3:減速比の数字が小さいものがハイギアード。ハイギアードだと出だしはもたつくが、その後の伸びが良いらしい。

*4:減速比=一次減速比×二次減速比×最終減速比



■Norton C652SM

1997年、ビモータ同様にBMWよりリチューン済みのF650のエンジンのOEM供給を受け、ノートンのフレームに載せたモデル。詳細は不明。




||| デザイン的側面からみた仲間 |||

■X-Ray

スタルクさんデザインのMOTOスポーツバージョンと呼びたいようなモデル。排気量は1000cc、ツインのエンジンを積んでいます。ただしプロトタイプなので市販はされておりません。



■X3

スタルクさん、X Rayだけでは飽き足らなかったようで、さらにパワーアップしたモデルも作っちゃいました。とはいってもこちらはまだCG止まりのようです。

【表の出典】
表1-1:MOTO6.5 ユーザーマニュアル(96年版)
表1-2:PEGASO ユーザーマニュアル(92年版)
表2:自作
表3&4:BIKERS STATION No.94,P.83 〜「Bimota Supermono/BMW F650/BMW R850R」の特集記事より抜粋。一部計算により補記。


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