四万ツーリング

  2001/9/1

RRRRRR.......朝5時半、ベルが鳴る。
んんん、もう少し寝かせてくれぃ。こんな時間になんだよぅ。『天気がいいからツーリングに行くぞー!』え、ちょっと待ってよ。今日は車でサファリパークじゃなかったの?ワタクシ的にまだ起きる時間じゃないんですが...zzz『つべこべいわないで早く起きて準備しとけ!』...ぐぅ。

行き先も分からぬまま、ひとまず出発。夏に走ってた時と同じ格好で出かけたら空気が思ってたよりひんやりしてて、ちょっとびっくり。おお、もうそんな季節ですか。見上げれば空にはすじ雲。いよいよ待ちに待った季節の到来です。家出る前までは不機嫌だったけど、早くも上機嫌。オトメゴコロと秋の空、あっという間に変わってしまうのです。

『お風呂セット用意しとけ』って言われたから、温泉に向かうのかな?関越道で群馬方面へ。お約束のように立ち寄ったPAでかわいいにゃんこの親子を発見!遊ぼうと思って近寄ったら見向きもしなかったので、磯部餅を買って再びトライ。ふふ、匂いにつられてやって参りましたよ。でも餅はあげないよ、これはワタクシのだからねっ。(胸を張りつつ)
どうもこのにゃんこ達、ここのPAに住みついてるらしい。確かに餌には不自由しないし、なわばり争いもないだろうし、結構住みやすいのかも。でも繁殖するには遺伝子上問題あるんだろうなぁ、といらんことを心配したりして。

高速は結構空いててかなり快適。やっぱりちびっ子達の夏休みが終わったからかなぁ。ぼーっとしながら走ってたらいきなり前を走るAF2が出口方向へ車線変更。わわわっ、車線変更の3秒前にはウインカー出してよっていつも言ってるでしょ!唐突に降りた出口は渋皮伊香保IC。『四万温泉にいくから』え、四万って高知県の四万?『...アホか、お前は!』...むっ -_-#)

出口を降りてからは353号線を北上。途中、通過した街でお祭りの準備したりしてる。いいなー、お祭り。でもあそこのポスターにある『かき氷大食い競争』はちょっとイヤかも。考えただけで頭痛くなりそう。
道は街なかを抜け、気持ちの良い山へと続いてゆく。山に入ると街なかより肌寒さは増すけど、これぐらいならむしろ清々しくていいかも。緩やかなカーブをいくつも辿ると、『四万温泉』の看板が見えてきた。あら、もう着いたのね。

んで、目指す温泉はどこの温泉なの?
『それを今から探すのだ。』...へっ?今から探すってどういうコト?
『この辺に「湯の泉」という秘湯があるらしいけど、ハッキリした場所が分からんのだ。どうやら役所や観光協会的には「そんな温泉はありません」ってことになってるらしい』なんじゃいそりゃ。で、それをどーやって探すつもりなの?
『アタックあるのみ!』
...このヒト、計画性も何もあったもんじゃありません。

唯一の手がかり、『四万ダムの横の道沿いにある』ってことだけを頼りに探索開始。ダム沿いをちょっと行くと舗装路とダートに分かれてて、ダートの方は通行禁止。なので舗装道路をずいずいと入って行く。と、道の脇に小さな駐車場があって、車が何台か停まってる。むむ、アヤシイ!バイクを停めて様子を窺うと、どうも渓流釣りの人々らしい。なんだ、違うのか。
その道をさらに奥へ進んでいくと舗装は終わってて、その先はダートになってる。むっ、これはMOTOでは行けませんぞ。こんな時に力を発揮するのがAF2。さぁ、いでよ!おぬしの力を存分に発揮するのじゃ!
AF2を送り出して当然のようにその場で待つこと5分、間諜が戻って参りました。『温泉は無いみたいだけど、面白いものがあったからちょっと来て』え、来てってMOTOで来いっていうの?その面白いものってなに?『なんか動物の頭骨。』...ちょっと見たいかも。
かくして人参につられる馬のように、頭骨見たさの一心でダートを超低速半クラッチでよたよたと進む。500mぐらい進むとその先はもっと凄いガレ道になってて、とてもバイクでは行けそうもない。でも目指す骨はすぐそこにあるらしい。じゃあ行かなくていいのね?よかったよかった。

その頭骨は結構小さくて、大きな握りこぶし2つ分ぐらいの大きさ。小さな角がついてるからシカの仲間かな?近くに大腿部とかあばらの骨とか毛皮なんかも落ちててなんだか西部劇みたい。肉はあらかた取れてるから(食われた?)見た目はグロテスクじゃないけど、若干臭いがきつくてじろじろ観察できなかった。連れが『持って帰ろうかな〜』なんていってたけど、こんな臭いもの積んで走ったら後ろ走ってるワタクシが臭くてしょうがないじゃない!却下却下!

ダム沿いの道を2往復ぐらいしたけどそれらしい温泉はやっぱり見つからなくて、諦めることにした。役所や観光協会に聞いても教えてくれないだろうし。ん、まてよ?もしかして公共の場では紹介されてないけど、個人のWebサイトとかには紹介してあるってコトもあるんじゃない?今日、どこに行くか事前に言ってくれれば調べられたかもしれないのに!ムキー!やっぱり下調べは大切です。

湯の泉を断念した我々、でもやっぱり温泉に入らなきゃ気が済まない。地図を広げて作戦会議。おっ、この尻焼温泉はどうでしょ?確か川全体が温泉になってるところだよね?水着も持ってきたし、よし、われらの桃源郷はそこだ!地図によると四万温泉から尻焼温泉方面へダイレクトに行ける林道があるみたいだけど、見ないふり見ないふり。おとなしく遠回りして行きましょ。

...って、またロマンチック街道ですか。実はロマンチック街道、東は尾瀬の南辺りから西は軽井沢の辺りまで続いてるロングロード。こんな長い道にロマンチック街道って名前つけるのは間違ってると思うのですよ、個人的に。何事でも甘美な時というのは刹那、長くは続かないものですからね。よよよ...(←何かを思いだしたらしい)そんなロマンチック街道、前回走ったとこよりも、今回走ったとこの方が走ってて楽しい。なんでかな?

のたのたと尻焼温泉方面に走っていくと、『尻焼温泉はこっち→』っていう真新しい看板発見。地図で確認したけどこの道、載ってないみたい。でも今来た道よりも道幅広そうだし車も少ないからこっち行ってみようかネ。
この道、峠を越えるらしくてだんだん高いところにのぼってく。ようやく下りにさしかかる辺り、『六合村ふるさと活性化センター よってがねえ館』っていう建物発見。...群馬のネーミングセンスって一体。名前はいまいちなところだけど、手打ちうどんののぼりに誘われて建物の中へ。
この建物、中は普通の公民館みたいで全然飲食店っぽくない。どこで注文するのか分かんなくてうろうろしてたら厨房の中におばちゃん発見。『あの、うどん...』って言ったら『そこで待ってて』と案内されたのが40〜50畳はあろうかという大広間。他に客はいなくて、この広間を独占状態でごろごろしてくつろいでると待望のうどんちゃんが出てまいりました。
頼んだのは天ざるうどん。800円也。...いいの、このボリューム感でこの値段。天ぷらの他に、もろきゅう(めちゃ太!)と胡麻和えと漬け物が添えてある。肝心のうどんは『田舎のおばあちゃんのうどん』って感じ。太さがまちまちで、つるつるっとしたのどごしはないけどもちもちしててなかなかおいしい。天ぷらも小鉢もその土地のもの使ってるそうで、素材が生き生きとしておりました。こんなに満足できるなんてちょっと意外。

さあ、いよいよ尻焼温泉です!期待に胸を膨らませて目指す河原へ一直線。思ってたよりも入ってる人が少ない、っていうか人入ってないんですけど。不審に思って川べりまで降りてみて湯に触れる。...ちべたい。ななななんすかこれは?お連れサマ曰く『そういえば、雨の後は増水して温泉じゃなくなるって書いてあったなぁ。』って、そんな大切なこと、いまさら思い出さないでよ!---→尻焼温泉ヨリ痛恨ノ撤退

で、またまた駐車場で地図を広げて作戦会議。もうめんどくさくなってきたから草津温泉にでも行く?『やだ!』...おっさんのくせにだだっこなんだから。曰く、はじめから目的地が草津だったら草津に行ってもいいんだけど、苦労して苦労した結果の妥協で草津に行くのはイヤなんだそうな。まぁキモチは分からんでもないけどね。
ふとみると、駐車場の隅っこに『湯の平温泉 スグソコ』っていう何の変哲もない看板がある。冗談のつもりで『ココに行く?』って聞いたら何を思ったかしらないけど『そうする』とのこと。この温泉、地図で見ても小さい字で書いてあるだけだし、大したことないかもよ。ちょっと見て大したことなかったらまた次の温泉探そ。

看板に従って国道405号を進むと、橋の上から遙か下方の川が覗けるところがあった。そこの川には赤い鉄橋がかかってて、乳青色の水がゆっくり流れててなんだかいい雰囲気。『ちょっと降りてみたいなー』と思ってたら湯の平温泉の案内発見。
細くて急な坂をそろそろと下りたら専用の駐車場があった。停まってる車は3台ぐらい。ところでさっきから連れの様子がおかしい。やけに目がキラキラしてる。なんだ?

そこには温泉宿からの注意書きみたいなのがあって、あろうことか『立ち寄り湯は13時までにお願いします』って書いてある。只今の時刻14時...ダメじゃん!
でも連れ、そこのインターホンに向かってなんか話してる。2、3言話した後、『入っていいって』だって。おお、なんて素晴らしい!さっそく参りましょう。

その温泉へ行くには駐車場からさらに川の方へ下っていかなくちゃならない。案内に従ってどんどん下っていくと、そこにはさっき橋から見えた赤い鉄橋があった。あら、思いもかけずこんなところへ。そしてその橋の向こうに見える白い湯気は...おお、川の見える露天風呂じゃありませんか!めちゃめちゃ良さげなロケーションです。見たところ、人もいなさそうだし。ここ、大当たりじゃない、ねぇ?
『いやぁ、思った通りだ』え、知ってたの?ここ。『さっき上の橋渡ってるときにこの露天風呂見えて、絶対当たりだと思ったから宿の人に頼み込んでみた。』ナルホド、だからさっきから目がキラキラしてたのか。

ここの露天風呂は男女別にはなってるものの、ひょいと見ればあちこちから覗けてしまうおおらかな造り。道路からも駐車場からも見えるっちゃ見えるけど、そんなこと気にしてたら露天風呂は入れませんよ。人がいないのをいいことにのびのびと独占状態。ふぅ〜、ここにたどり着くまでに引いたはずれくじが今やっと報われました。

貸し切り状態の露天で一息ついたら時にもう3時。そろそろ帰りますか。来た道をまた引き返したらとてもつまんないので、このまま南下して軽井沢に抜けて長野道に乗ろうかな。軽井沢に抜ける道は確か気持ちのいい道だった筈だし。
途中、道を間違えつつも爽快な道をたらたら走ってると、農作物を販売している出店みたいなところから素敵なカホリが漂ってまいりまして...焼きトウモロコシだ!これは何をおいても食べなければ。連れも異存はないようで、はじめは『ふたりで1本ね』とか言ってたくせに、いざオバチャンを前にしたら『2本下さい!』ですと。でも2本買って良かった。めちゃめちゃ旨いトウモロコシでしたから。

軽井沢へは順調に到着。お約束の旧軽でも見物しましょうと思ってバイクを停めてたら、20台ぐらいのバイクの集団が駐輪場からぞろぞろ出てまいりまして。うはっ、なんて異様なんでしょう。旧軽のちゃらちゃらした雰囲気にはそぐわない、こてこてのツナギライダー達。ところで彼ら、ここに何しにきたんでしょう?まさかモカソフト...?

旧軽を冷やかしたら一路長野道へ。長野道へ向かう峠道からそれはそれは美しい夕日が見えました。停まって写真撮りたかったけど、停まれるところもないし第一カメラにフィルムが残ってない T_T)バックミラーの中で小さくなって行く夕日を見つめながら、フィルムの予備を持っていない自分を恨めしく思う夕暮れなのでした。

+--我が家にて--+
湯の泉温泉調べたら、うじゃうじゃ情報が見つかりました。...下調べはやはり必要なようです。