ジュゴンツーリング

2002/11/2

時は花の金曜日。
花金という言葉はもう死語だけど、やっぱり次の日が休みだったら気分もウキウキ、早く帰りたいってのが人情でございます。しかも明日から三連休、こんな夜に残業するなんてまっぴらゴメン...と思っていても会社はそうは甘くない。そんな私の心中を知ってか知らずか大量の仕事を押しつけられ、結局家に帰り着いたのは日付が変わる頃。そしてそんな状況は我が相棒も同様。明日からツーリングに行こうというのに何もまとまっていない荷物を横目で眺めつつ、こたつでぐったり横たわる輩×2。

『あのさぁ...行く?』
『ん〜...まぁね』
『荷物全然まとまってないね』
『...だね』
『明日から寒くなるみたいだね』
『...らしいね』
『鳥羽はちょっと遠いよね』
『...ちょっとね』
『早く出発するの、辛いね』
『...そうだね』
『...車だったらとっても快適だよね』
『だよねだよね!』

車という単語が出たとたん色めき立つワタクシ。ああやっぱりムリしちゃいかんでしょ、好きこのんで辛い思いすることないし。旅はやっぱり楽しまないとね♪
でも...それで後悔しないかな?きっと今秋最後のツーリングになるはずの今回。せっかく紀伊半島まで行くんだからやっぱりバイクで行きたいなぁ。

『...やっぱりバイクで行こうか。(溜息)』
『...そうしますか(溜息)』

自分たちで決めておきながらも渋々準備を始める人達。テント出して寝袋出してバーナー出してランタン出して焚き火台出して、と。ルルン♪
...アレ?イヤイヤながら始めた準備だけど、こうやって荷物まとめてたらだんだんその気になってきてる自分がいる。なんかとっても不思議。でも一度行く気になっちゃえばもうこっちのモンです。たとえどんなに朝が寒かろうと、仮眠が1時間しか取れなくともアドレナリンでなんとか乗り切れるはず!(自己暗示)

小一時間ほど仮眠をとり、3時に起きて出発の準備。
身動き取れないぐらいしっかりと厚着したから寒さ対策は万全。これでも寒かったらもうお手上げです。バッテリーの調子がイマイチ不安なMOTOだけど、いったん走り出せばなんとかなるっしょ。
近所のガスタンでガソリンを入れてから東名へ向かって走り出す。でも走ってると結構な横風でかなり不安な感じ。同じことを相棒も思ってたみたいで、信号で停まるたびに『どーする?(帰りたいな〜)』『どーする?(ちょっとこれはねぇ〜)』って顔を見合わせて腹のさぐり合い。お互い帰りたいオーラがムンムンに出てたけど、『東名が風で通行規制されてたら帰ろう』ってことにした。

そして東京インター。
料金所のおっちゃんに『風による規制って出てますか?』って聞いたら『特になにも無いよ』と返され、幸か不幸か我々は西へ向かうことに決定。...何故かがっくし。いいや、そろそろ覚悟決めよう。
三連休と言えどももう11月。走ってるバイクも数は大分減っている。そりゃあねぇ、この寒さだったら普通はバイクで出かけようなんて思わんわな。
寒さに身を堅くしつつひた走り、海老名、足柄、富士川と休憩を挟みながら8時頃牧ノ原SAに到着。いや〜、さすがに仮眠一時間で走ってるともう眠くて眠くて。しかーし、そんな私の強い味方がこの牧ノ原SA。ここは知る人ぞ知る簡易休憩施設があるSAでして、基本的には誰でも(?)休憩できるというとてもステキなところ。設備は2等船室みたいな感じで自由に使っていい枕がポイッと置いてある。場所はお土産売り場の奧なのでちょっと分かりにくいところにあるんだけど、我々の先にもバイク乗りらしき先客が一人いてしっかり寝袋持参でお休み中でした。考えてみるとそれって正解。私は何も敷かないで絨毯にそのまま寝たら下から体が冷えてきてまともに眠れなかったから。

一時間ほど仮眠を取ったら再び出発。ちょっと寝ただけだけどかなり眠さが解消されている。ここは結構使えるのでなかなかオススメ。でも本当はトラック運転手用の施設みたいだから夜真夜中とかに行くと混んでるかもしれないから要注意。そこからまたしばらく走って浜松西の出口で高速を下りる。
料金所出たところでまた休憩。『そういえばこないだ修理した冷却水は大丈夫かしら』と思ってMOTOを観察していたら、なんと緑の液体がホースのつなぎ目あたりから飛び散ってバイオハザードみたいになってる。アワワと動転して連れに助けを求めるも、『ちょっと漏れたのが風圧で飛び散っただけだろ』とあっさり返される。え、ホントにそうなの?このまま明後日まで走っても大丈夫かなぁ。・・・まっ、いっか。

浜松西からは下道をさらに西に向かって走る。走りながら浜名湖を眺めたり、渋滞にはまったりしながらも渥美半島の根元に到着。ここのコンビニでまた一休みしつつ、(休んでばっかり^_^;)今日泊まる予定の宿に予約のTELを入れる。今日は伊勢の南にある南勢町というところの『南勢町交流センター』に泊まる予定。ここは町が運営している宿泊施設でして、安い料金で素泊まりができるビンボー旅人に優しいお宿。
RRRRRRRRRRR(まだ出んのかい)RRRRRR...『もしもし?』電話にでたおっちゃんはどうやら耳が遠いらしく、さらに私の携帯電話も電波が悪くてコンビニの前で大声で自分の住所名前電話番号を大声で何度も復唱する羽目に・・・-_-;)
そういえばさっきから気になってるんだけど、今日ってやっぱり風が強い。伊良湖から鳥羽に渡るフェリーは運航してるんかいな。それも確認しとこ。RRRR...『今日は鳥羽行きの船、運航してますか?』『今のところは大丈夫ですよ』・・・今のところは、ってことはこれからは分からないってこと?いかんいかん、早く港に行かねば!

渥美半島に入ってからは車も少なくてのんびりと走りやすい道が続く。でものんびりと走ってなんかいられない、あそこのフェリーは予約不可だからバイクがたくさんいたら次の便に乗れなくなっちゃう。急げ急げ!と気ばかり焦っていたら、交差点の脇道から7〜8台のオートバイの集団が港方面へ曲がって行くではありませんか。あー!ちょっとちょっと!そっち行っちゃダメ!なんか同じ方向に向かうバイクは全部フェリーに乗るような気がしちゃって気が気でない。負けじと追いかけるも一団はあっという間に見えなくなっちゃった。どうか彼らがフェリーに乗っても、私だけでも乗れますように(-人-)おっさんは次の便でいいですから>コラ

案の定フェリー乗り場にはたくさんのバイクが停まっていて、かなりドキドキ。窓口で『2台乗れますか?』って聞いたら大丈夫だったから良かったものの、私たちの後から来たバイクはもう次の便に回されてた。間一髪、良かった〜。
私がなんでこんなにフェリーに乗りたかったかっていうと、早く鳥羽水族館で愛するジュゴンを見たいから。というか、そもそも今回紀伊半島に来たのはジュゴンを見るためだし。あ〜フェリーに乗ってる一時間が待ち遠しい!いっそのこと泳いで行きたいぐらい。(注:今は11月です)

鳥羽の港が見えてきたらもういてもたってもいられない。我先にと下船して一路鳥羽水族館へ!…と思ったら、下りてすぐそこがもう水族館でした。駐車場にバイクを停めさせてもらい(ホントは車だけらしいんだけど)、小走りでチケット売り場へ。用意周到準備してきた入場割引券でチケットを買ったら後からついてくるおっさんのことはすっかり忘れてジュゴン水槽へ向かう。

いた〜〜〜〜〜♪(ハァハァ)

のほのんとした表情で悠々と泳ぐ姿はいくら眺めていても飽きないのです。セレナちゃん(♀)とジュンイチくん(♂)の水槽を行ったり来たりして20〜30分ほど堪能してから館内を軽く見学。アシカショーを見た後お土産売り場で垂涎のジュゴングッズをチェックしたら再びジュゴン水槽の前へ。あ〜和むな〜。今日はこのままここに泊まってもいいぐらい。と、そこへ無粋な連れが一言。『そろそろ行くから』やだやだやだ、まだ見るんだもん!『駄目なものはダメ!』じゃああのジュゴンの抱き枕買って〜(じたばた)『買ってもいいけど自分で積むように』・・・(T_T) 通販で買うよ。
外に出たら空は結構いい色の夕焼けで、空気も冷えてきてる。あらら、こりゃホントに早く宿に向かわないとね。

南勢町までは一時間もかからずに着いた。今日の宿は西日本を回ったときに一度泊まっているから場所も分かるしスーパーも把握してる。先にスーパーに立ち寄って晩ご飯の材料を…と、その時おっさんが白状したこと。『ごめん、調味料の類全部忘れてきた。』おおおおお!?自称手練れキャンパーとかいいながらそれってどういうこと?じゃあ塩も醤油も胡椒もほんだしも全部買うの?・・・自分で全部積んでね(-_-#)

ガラ空きと踏んでた交流センターは意外や意外、結構宿泊客が多い。風呂も炊事場も交代での利用だから、人の合間を見て入浴&食事の準備。今日の夕飯はやっぱり海鮮でしょ♪貧乏海鮮丼と揚げ物、牡蠣のみそ汁。満腹になったところでせんべい布団にくるまって地図を眺めつつ今日の復習&明日の予習。そんなことをしていたらいつしか意識が朦朧としてきて夢の中へ・・・おやすみなさい。