■MOTO6.5とは?

Aprilia(伊)から1995年-2000年
*1に生産・発売された650ccシングルのオートバイ。デザイナーはフランスの奇才と名高いフィリップ・スタルク氏。
MOTO6.5は当サイトでは「MOTO」「MOTO6.5」と標記していますが、カタログを見る限り正しくは「MOTO(Oの上に '
*2)6.5」もしくは便宜上「MOTO'6.5(タンクロゴはこんなかんじ)」だと思います。あくまでも私がそう思ってるだけなので、正しく知りたい方はapriliaに問い合わせてください。
イタリア語だと「MOTO'」は一般的オートバイの意。6.5は「sei punto cinque」と読むそうです。読み方は日本語なら普通に「もとろくてんご」と読んでます。
ついでに6.5ですが、単位を付けるとするならばデシリットル(dl)
*3になるんでしょうか。日本では小学校で習う以外あまり目にしない単位ですが、調べてみたらイタリアの料理本なんかにはよく出てくる単位だそうです。

フィリップ・スタルク氏とは?
歯ブラシから住居まで幅広くデザインを手掛けるインダストリアル・デザイナー。その名を知らない人でも「浅草にあるフラムドール(アサヒビールの金のオブジェ)を作った人」と言えばだいたい納得してくれます。
スタルクさんはモータービークルに対しての造詣も深く、MOTO6.5以外にもいくつかの車やバイクのデザインを手掛けていますが、市販化されたものはこのMOTO6.5のみ。故にスタルク氏の「動く作品」としてMOTO6.5を愛好する人も多数いるのです。
スタルクさんについてもっと詳しい内容は公式HPへどうぞ。
http://www.philippe-starck.com/




*1:2000年生産終了は情報筋より。未確認。

*2:アッチェントというアクセント記号らしいです。

*3:念のためにおさらい。デシ(deci)は10分の一を表す単位なので1dl=0.1l=100cc、6.5dl=0.65l=650ccとなります。

■デビューから生産終了まで

1994年12月、ボローニャで行われたモーターサイクルショーにはじめて(?)
*4出展されました。展示車両は現行のオレンジ、黒、白。参考出展ではなく、すでに翌年からの量産が決定している市販モデルとして紹介されています。そのショーでは著名人をはじめとする多数の人々の支持を集め、手応えは上々。その独特なスタイルにより従来のバイクではくみ取りきれなかったニーズを取り込めることが予想され、これなら広く受け入れられるのではないかと当時の雑誌には紹介されています。
MOTO6.5に添えられていたキャッチコピーは「乗り手に脅威を与えないマシン」「古代的な未来」「THINK BIKE」など。独特のスタイルを最大の売りにしているのはもちろんですが、人とバイクの関係を改めて問い、乗り手に優しい存在であることをアピールしています。

そして翌年(1995年)から市販が開始されましたが、何台くらい製造・販売されたかは不明。95-96年式のMOTO6.5は燃料コックの配置に問題があったため、96年後半に製造されたものあたりから徐々に改良がなされています。
それ以外は目立った改良点はないようです。

生産終了の時期については資料がないのですが、一部情報によると2000年で生産が終了になっているとのこと。一番最後に生産されたMOTO6.5は今どこにあるのでしょう。個人的にとても気になります。




*4:先んじて10月に行われていたIFMAショーおよびそれ以前の各種ショーへの出展は未確認のため
■日本国内におけるMOTO6.5

アプリリア取扱総代理店であったBOSCO MOTOが日本での取り扱いの主流でした。もちろんここを経由せずに輸入されたMOTO6.5も多数あります。BOSCO MOTOでのMOTO6.5の取り扱いは98年夏から・・・だったと記憶しています
*5。取り扱いの色はオレンジと黒のみ。なぜ白の扱いがなかったのかは不明。(BOSCO MOTOルートでなく国内に入ったMOTO6.5には白もあるようです)
なお、東京モーターサイクルショーへの出展はいつから行われていたかは不明ですが、少なくとも私がMOTO6.5に出会った98年のショーには展示してありました。


(MCSで入手した当時のBOSCO MOTOのカタログ)


2002年、アプリリアジャパン(以下AJ)の設立により、国内アプリリアの取り扱いはAJが拠点となりました。しかしこれを機にすでに2000年に生産終了しているMOTO6.5はAJのProductsのラインナップから外されてしまいます。パーツセンターもでき、これでパーツ供給は安心と思っていた矢先の出来事でしたからガッカリもいいところです。しかし生産終了モデルでもパーツは注文できると聞いて一安心。(ただし在庫の不安は大いにありますが)

※BOSCO MOTOのサイトはこちら
※アプリリアジャパンのサイトはこちら




*5:当時のBOSCO HP告知による。記憶違いかも。
■各種メディアでの扱い

日本のバイク雑誌各誌で本格的にMOTO6.5が紹介されたのは96年2月
*6*7。奇しくもBIG BIKE Cruisin'、clubman、MOTORCYCLISTの3誌が同時期に掲載しているのは車両提供の都合なのでしょうか。車両提供は前出のBOSCO MOTOです。(同社ステッカーを車両に確認)記事の内容はいわゆるインプレッション記事。走行に関する評価は微妙な言い回しでお茶を濁されていましたが、そのスタイリングに一目置いていることは共通しています。

それ以後MOTO6.5に関する記事が掲載されている雑誌はほとんどありませんでしたが(総合カタログなどは除く)、2000年から2005年にかけていくつかの雑誌にて再びMOTO6.5の姿を見かけるようになりました(もちろんインプレ記事ではありません)。これについては勝手に「時代がやっとMOTO6.5に追いついた」と解釈しています。

他にもコミックの一コマ、広告のアイテム、他ジャンルの雑誌、映画などでもその姿を見ることができ、いかに多くのクリエイターに一目置かれているかを窺い知ることができるのです。

※MOTO6.5が掲載された国内外の書籍についてはBooksのコーナー参照
※MOTO6.5が出ている映画についてはMovieのコーナー参照


*6:先に書いたボローニャでのショーの様子は95年2月のClibman誌に掲載。

*7:海外誌に掲載されたMOTO6.5のインプレ記事の翻訳版は95年7月のBikers Station誌に掲載。


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