カヤノ平キャンプ

2002/10/13

美しいススキを見に行きたい。
2年前、鬼無里でまだ穂の開かぬススキの道を走ってからずっと思っていました。ちょっと郊外に行けば見られるだろうススキも、ここ東京ではなかなか見る機会がありません。ふんわりと白く風に揺れるススキを掠めながら走る。そんな他愛のない、夢とまでは言えぬ小さな夢を叶えたくて奥志賀はカヤノ平まで行くことにしました。

カヤノ平は今回が初めてではなく、実は夏に一度リサーチに行っているのです。その時は天気予報にビビって車でのキャンプでしたが案の定雨のヤローは一滴も降らず、何度も『バイクで来れば良かったねー』とぼやく羽目に。その時の無念を晴らすため、何としてでもバイクで行かねば気が済まない今回のカヤノ平。
しかしそこは奥志賀高原のさらに奥にあるキャンプ場。いくら10月初旬といえども寒さ対策は万全にして行かねばなりません。そこで昨年から購入を検討していたインナーダウンを買っちゃいました。これさえあればもう怖いものナシなのです。ほっほっほ♪

出発した朝は3連休の二日目。比較的交通量も少なく、関越入り口から月夜野ICまで走ること約2時間。事故渋滞が一カ所あっただけで、道中ほとんどが快適に流れていました。
しかしそれにしても寒かった。高速に乗って10秒ほどでかなり後悔。やっぱり私ってMなんでしょうか?こんな寒い中走ってるバイクはみんなMに違いありませんて。期待大で買ったインナーダウン、思いの外全くの役立たずです。しくしくしく...T_T)なんて思いながら走ってて、途中立ち寄ったSAでフとみたらアウターに着ていたマウンテンパーカーのベンチレーションが大全開でした。これじゃ寒いはずだぁね -_-;)

月夜野でおりたら国道17号を延々と北上。道中コンビニでおやつなんか食べてみたり。しかしコンビニの駐車場で三角の生ケーキを手で掴んでわっしわっしと食べるなんて、バイクが傍らになくちゃできないでしょ。え、あってもするなって?いや、もしかしたらバイクが無くてもできるかも...。

17号から353号、そこから117号へ入り、途中のスーパーで食料調達。それからちょっと走ったら今度は南下。川のこっちを走る国道と、川の向こうの高いところを走るくねくね舗装林道があるんだけど、さてどちらを行きましょうか...ってワタクシが考える前に有無を言わさずくねくねルートを選ぶアフリカツイン。『普通はこっち選ぶでしょ』いや、だからね、そのね...T_T)

なんて気後れはしてみたものの、車も少ないし道も楽しいしで満足度結構高し。遙か下方に見える国道は快適そうだけどなんかつまんなそう。山のくねくね道は苦手なくせに、走り出しちゃうと楽しめちゃうのは何故なんでしょう。途中ススキ野原やススキ街道みたいなところもあったからやっぱりこっちのルート選んで正解だったかも。

目指すカヤノ平キャンプ場まで残すところあとわずか。しかしさっきから気になるものがちらほらと見受けられるんですけど。『この先土砂崩れのため通行止め』って、まさか我々が行く道じゃないよね?でも地図見るとこの先の道ってまさにその道だったりするわけで...嫌な予感を感じつつ進んでいくと案の定虎ロープが張ってあって完全に行けない状態になってしまったのでした。T_T)
しかし目的地まであと5km、ここで引き返したらオンナが廃るってもんです。相棒の『土砂崩れって言ってもだいたいバイクが通れるだけの道はあるもんだ』の言葉を信じて虎ロープを越えて先に進む。進んで進んで、もしかしてこれは行けるかも?そう思った矢先に目に入った土砂崩れの現場。みっしりと道が塞がれてます。猫の子一匹通れないとはまさにこのこと。深いため息を一つついてスゴスゴと後戻りするはめに。T_T)

さてどうするか。もうこの先に道はないので後戻りするしかないんだけど、回り道してでもカヤノ平へ行くとなると軽く100kmは走らないと無理っぽそう。でもそれって精神的にかなりキツイかも。若しくは日和って近所のキャンプ場でお茶を濁しちゃおっかな〜。でもせっかくここまで来たのにな〜。ん〜、やっぱ行きますかネ、気合い入れて100km。
さっき通ったくねくね道はパスして国道経由でリカバリー。時間短縮のつもりでこっちの道を選んだんだけど、国道のくせに結構な悪路でサンデードライバー達がすれ違い出来なくて四苦八苦してる。こんなことだったらさっきの道を戻った方が精神衛生上よかったかも。イライラ。
117号に復帰したら野沢温泉方面を経由し、ぐるっと遠回りしてやっとカヤノ平へ向かう道に辿り着く。

カヤノ平キャンプ場は志賀高原の奥の方にあって、結構標高の高いところなのです。上り坂をぐいぐい登っていくにつれ周囲の葉っぱの色が変わり気温も下がり、秋の到来をしんしんと身に感じます。そしてある高さを超えると植生がブナに変化し、それはそれは見事な蜂蜜色の世界へ。もっともっと先を見たいという欲求に押され、結局この風景は自分の記憶にだけ納めることになったのでした。(要するに写真撮れなかったってことですね)

日が傾きかける頃、キャンプ場に到着。さぁさぁテントを張りましょう。この日のカヤノ平はRV雑誌のイベントをやっていたみたいでそんな車が何台もキャンプしてる。どれもこれも立派な装備の中、我々は小さくて質素なテント。...いいんだもーん、装備の豪華さで楽しさが決まる訳じゃないもんね。

日が落ちると途端に空気が冷えてきた。あわてて焚き火の準備をして暖を取る。あ〜幸せ♪もう離れられない。ひしっ!...焚き火にへばりついて離れようとしないワタクシに呆れたおっさん、火の世話はワタクシに任せて一人で夕飯の支度に取りかかる。はっはっは、いつもすまんね。
今日の夕ご飯はテキトー鍋。その名の通り適当に具を入れて煮込むべし煮込むべし!その傍らではお約束の炭火の焼き物。キノコとか肉とかトウモロコシを塩振って焼くだけ。それだけでどうしてこんなにおいしくなるんでしょう?炭火は料理を旨くするという格言は本当なんだね。鍋の後は残り汁にうどんを入れて〆。
食後は火を挟んでホット梅酒をちびちびとすする。元々口数の多い我々じゃないけど、焚き火を前にするとさらに口数が少なくなる。 黙って焚き火をつつき回し続ける変な人たち。焚き火に面してる顔や体前面は暖かいけど、背中は夜の空気にさらされてとても寒い。時々背中やお尻をあぶりつつ、全身が暖まったところで就寝。

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